Joliet

概要

Jolietとは、CD-ROM論理フォーマットの標準であるISO 9660形式の拡張仕様の一つで、長いファイル名を付けられるようにしたもの。米マイクロソフト(Microsoft)社が提唱した方式で、同社のWindowsなどで利用できる。

ISO 9660ではファイル名は仕様上は32バイトまでで、実際には多くの実装でファイル名8バイトまで+拡張子3バイトまでのいわゆる8.3形式のみを扱うことができる。Joliet拡張ではファイル名にUnicode規格の一つである2バイト固定長のUTF-16を用い、最大64文字、128バイトまでの長いファイル名を付けることができる。

ISO 9660との互換性を維持するため、ファイル名を8.3形式で記録したISO 9660方式の管理領域(ディレクトリツリー)も書き込み、これとは別にJoliet用のディレクトリツリーを作成する。同じファイルを表す管理データが常に2つ記録されることになるが、ファイルの実体は一つだけ書き込まれ、両者が同じ実体を指し示すようになっている。ツリーが別になっているため、ISO 9660では8階層までに制限されているディレクトリ階層の制約もない。

ISO 9660 CD-ROMのファイルシステムの国際標準。ほとんどのOSが対応している。フォルダやファイルの名前には制限がある。OS独自の情報は記録できない。
Joliet ISO 9660をWindows向けに拡張。ファイル名が64文字(Unicode)まで使え、大文字と小文字の区別も可能。
Romeo Windows専用形式。128バイトまでのファイル名をつけられるが、8.3形式のファイル名は記録せず、Unicodeにも対応していない。
Apple ISO ISO 9660をMac OS向けに拡張。Mac特有の情報も書き込める。Windowsとデータを共有することができる。
HFS Mac OS専用形式。Mac特有の情報が扱えるようになっている反面、他OSとの互換性はない。
RockRidge ISO 9660をUNIX向けに拡張。ファイル名やディレクトリ数の制限が大幅に緩和されている。パーミッション情報なども記録可能。
UDF パケットライト方式で使われるファイルシステム。互換性も高く、DVDにも採用されている。
Hybrid CD
ハイブリッドCD
ISO 9660とHFSを一枚のCDに共存させたもの。WindowsでもMacでもデータが読み出せる。
▲ CDのファイルシステム

Romeo (ロメオ)

CD-ROM論理フォーマットの標準であるISO 9660形式の拡張仕様の一つで、128文字までの長いファイル名をつけられるようにしたもの。米アダプテック(Adaptec)社が提唱した方式で、Windowsで利用できる。

ファイル名を最長128文字まで使えるようにしたもので、ASCII文字以外の各国の1バイト文字を使用できるが、日本語などの多バイト文字には対応していない。ISO 9660 Level 2とは互換性があるが、8.3形式のLevel 1との互換性は考慮されていないため、古いシステムでは読み込めない場合がある。

RockRidge (IEEE P1282)

CD-ROM論理フォーマットの標準であるISO 9660形式の拡張仕様の一つで、ファイルの属性としてUNIX環境で使用される情報を記録できるようにした方式。IEEE P1282として標準化され、主にUNIX系OSで用いられる。

CD上に記録されたファイルやディレクトリについて、シンボリックリンクを作成したり、パーミッション(アクセス権)の情報を記録したりすることができる。ISO 9660の仕様ではアルファベットの大文字と小文字は区別されないが、UNIX系OSのファイルシステムと整合するよう、これを区別して記録する。ファイル名も最長255文字まで設定でき、ディレクトリ階層の深さの制約もない。

ISO 9660との互換性も維持されており、RockRidge非対応のシステムからはISO 9660のディスクとして8.3形式のファイル名でアクセスできる。

(2018.11.7更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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