HD DVD 【High Definition DVD】
概要
HD DVD(High Definition DVD)とは、DVDフォーラムが策定した、DVDの後継となる大容量光ディスクの規格。DVDと同形状のディスクに15~30GBの容量を実現する。2003年に発表されたがBlu-ray Discとの競争に破れ終息した。東芝とNECが共同提案した「AOD」(Advanced Optical Disk)仕様をベースとしている。読み取りには波長405nmの青紫色レーザーを使い、CDやDVDと共通の直径12cmディスクにデータを記録する。読み出し専用の「HD DVD-ROM」は片面1層で15GB、片面2層で30GBの記憶容量を持つ。
CDやDVDと同じように一度だけ書き込み可能な「HD DVD-R」、内容を消去して再書き込みが可能な「HD DVD-RW」も策定され、容量はHD DVD-ROMと同じ片面1層15GB、片面2層30GBとなっている。コンピュータ向けの再書き込み可能ディスク「HD DVD-RAM」も片面1層20GBで策定されたが、2層記録の仕様策定は立ち消えとなった。
HD DVDの最大の特徴は従来のDVD規格との高い互換性である。片面2層記録メディアの場合、DVD-ROMと同様に1層0.6mmの基板を2枚貼り合せることで1枚のディスクを構成する。光ピックアップの開口数(0.65)もDVD規格と同じである。
こうした互換性の高さにより、DVD機器の上位互換機種としてHD DVD機器を開発するのは比較的容易となっていた。HD DVDメディアの生産設備もDVDメディアのものを流用でき、設備投資を抑えることが可能だった。DVD規格との互換性や共通点が薄いBlu-ray Disc規格とは対照的である。
DVDの次世代光ディスクについては、ソニーなどの立ち上げた「Blu-ray Disc」(BD)陣営が一足先に規格策定と製品化を進め、2004年頃から事実上の標準の座を巡って激しい争いを繰り広げた。次第にBDの優位が明らかになり、2008年にHD DVD陣営の中心だった東芝が撤退、普及推進団体も解散した。
(2024.1.7更新)