ダウンサンプリング 【downsampling】
連続的なアナログ信号を離散的なデジタル信号で表すには、アナログ信号を一定の周期で測定し、測定値をデジタル値に変換して記録するという手法が用いられる。このとき、信号を測定することを標本化(sampling)と呼び、単位時間あたりの標本化回数(周期の逆数)をサンプリング周波数という。
あるサンプリング周波数で標本化した値の列(通常は量子化後のデジタル信号)を、低い周波数でサンプリングし直す操作をダウンサンプリングという。例えば、音声信号を44.1kHzでサンプリングしたデータを用いて、22.05kHzのサンプリングデータに変換する操作が該当する。
変換前後の周波数が整数倍の関係にある場合は単純に元の値の列から倍数に応じた頻度で「間引く」(decimation)処理を行えばよい。例えば、1/3倍にするなら値1つを残すごとに後続の2つを捨てる。整数倍ではない場合はこの方法は使えないため、両者の公倍数になるよう元の値の列を補間した仮の標本列を生成し、これに対して間引き処理を行う。
変換後の周波数は元の周波数より低いため、元の信号をそのまま変換すると変換後の周波数の半分(ナイキスト周波数)を超える成分にエイリアシング(折り返し雑音)が発生してしまう。これを避けるため、間引き処理の前に変換後のナイキスト周波数を超える成分をあらかじめローパスフィルタで遮断する処理が行われる。
(2023.6.9更新)