H.264 【MPEG-4 AVC】
概要
H.264(MPEG-4 AVC)とは、2003年5月にITU-T(国際電気通信連合)によって勧告された、動画データの圧縮符号化方式の標準規格。2007年にISOとIECによってMPEG-4の一部(MPEG-4 Part 10 Advanced Video Coding)としても勧告されているため、「H.264/MPEG-4 AVC」「H.264/AVC」のように両者の呼称を併記することが多い。H.264は携帯電話のテレビ電話といった低画素数、低画質の用途から、HD画質のデジタルテレビ放送などの高画素数、高画質の動画まで幅広い用途に用いることができる。前世代のMPEG-2やH.263に比べ圧縮効率が改善されており、同じ画質なら概ね半分程度のデータ量で済むようになっている。
H.264の符号化の基本的な方式はH.263などの従来方式を踏襲しており、動き補償、フレーム間予測、DCT(離散コサイン変換)、エントロピー符号化などを組み合わせたアルゴリズムを利用する。それぞれの技術について、浮動小数点演算を整数演算で代替するなど処理方式を改良したり、新しい技術を取り込むことにより従来方式よりも優れた圧縮率を達成している。
フレーム予測技術や圧縮符号化方式(圧縮アルゴリズム)に関していくつかの方式から選べるため、それらの組み合わせが「プロファイル」として複数定義されている。目的に応じて使い分けることで、要求される処理性能やビットレートの違いに柔軟に対応できる。
MPEG-4では当初別の動画圧縮方式が定義されていたが、より効率の良いAVC方式が策定されたことにより、2000年代後半以降はこのAVC形式が一般的となっている。MP4ファイルに格納される動画データの大半は実際にはこの形式である。
一部のデジタル放送方式やAVCHDおよびAVCREC、Blu-ray Discのコーデックの一つにも採用されている。Adobe FlashのFlash Video(FLV)のコーデックに採用されたことからインターネット上の動画共有サービスなどにも広く採用された。現在はFlashが廃止されたこともありネット上の動画形式は後継世代のVP9やAV1、H.265などへ移行中である。
(2024.3.5更新)
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この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター「木製道路施設の耐久設計・維持管理指針策定のための技術開発」(PDFファイル)にて引用 (2009年4月)