マルチセッション 【multiple session】 multisession

概要

マルチセッション(multiple session)とは、一続きのデータの流れであるセッション(session)が複数である状態のこと。対義語は「シングルセッション」(single session)で、データの流れが単一であることを表す。

通信のマルチセッション

ネットワーク通信では、同じ回線やプロトコル、通信方式などで同時に複数の(相手と)接続を確立し、同時にデータを送受信することをマルチセッションという。

例えば、ブロードバンドルータなどの機器にはPPPoEなどを利用したリンク層の接続を同時に複数確立して通信することができるものがある。複数のインターネットサービスプロバイダISP)に同時に接続したり、一つをインターネット接続、もう一つを通信事業者の会員専用ネットワークなどに接続して同時に利用したりといったことができる。

対比として単一の接続のみで使用する状況を指す場合には、これをシングルセッションということがあるが、ほとんどマルチセッションの対義語としてしか用いられない。

CDのマルチセッション

CD-Rなどで用いられるデータ記録形式の一つで、一枚のディスクを複数のセッションで構成することをマルチセッションという。

CDにおけるセッションはデータの記録単位の一つで、記録開始の目印である「リードイン」と、データ本体、記録終了の目印である「リードアウト」がこの順に並んだ構造になっている。CD-RCD-RWでは同じディスクにセッション単位で何度も繰り返しデータを追記することができ、そのような書き込み方をしたディスクは一枚が複数のセッションに分かれたマルチセッションとなる。

音楽CDCD-DA)やCD-ROMなど工場でプレスして大量生産されるCDは原則として一枚のディスク全体が一つのセッションであるシングルセッションであり、すべての機器で読み込むことができるが、マルチセッションで記録されたディスクは古い一部の再生機が対応していないことがあり、最初のセッションのみが読み出される。

一続きのデータの流れであるセッション(session)が単一である状態のこと。対義語は「マルチセッション」(multiple session)で、複数のデータの流れが存在することを表す。

シングルセッション (single session)

CD-Rなどで一枚のディスクを単一のセッションで構成することをシングルセッションという。音楽CDCD-DA)やCD-ROMなど工場でプレスして大量生産されるCDは原則としてシングルセッションであり、すべての機器で読み込むことができる。

リードイン/リードアウト (lead-in/lead-out)

CDにセッション単位でデータを記録する場合に、各セッションの先頭と末尾に付加される境界を表す領域を「リードイン」(先頭側)、「リードアウト」(末尾側)という。セッションは必ずリードインとリードアウトに挟まれており、それぞれ隣接するセッションのリードアウト、リードインと隣り合って記録されている。

リードインにはそのセッションの目次やトラック情報などが記録されており、TOC(Table Of Contents)領域もここに含まれる。リードアウトはただ終了を表すだけなので、リードインと違って基本的に何の情報も含まれていない。

リードインとリードアウトは合わせて14MB(メガバイト)程度の容量があり、マルチセッションでいくつもセッションを作成するとデータ本体の記録容量はリードイン・リードアウトの分だけディスク全体の容量から差し引かれていく。

(2018.8.27更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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