量子化誤差 【quantization error】 量子化歪み / quantization distortion
アナログ信号は無段階に滑らかに変化する連続量だが、これをデジタル化する際には一定の周期で信号レベルを測定する「標本化」を行い、得られた標本を整数などの離散値で表す「量子化」(quantization)という操作が必要になる。
量子化では、本来連続量である信号レベルを有限段階の飛び飛びの値である離散値(デジタル値)で近似する。何段階の数値で表すかは「量子化ビット数」で示され、例えば8ビットで量子化を行う場合は信号を0から255の256段階の数値に置き換えて表現する。
例えば、ある瞬間の信号レベルを測定したら最大値の256分の128と129の間であったとき、量子化によってこれを「128」に決定すると、真の値から切り捨てられる値が生じる。各測定点ごとにこのような量子化誤差が少しずつ生じ、得られたデジタル信号は元の波形とはわずかずつ異なるものとなる。
量子化誤差によって生じた歪みはある種のノイズであるとも捉えられるため、「量子化雑音」(量子化ノイズ)と呼ぶこともある。ノイズとして見た場合、切り捨てられる値の大きさには規則性がなく、ランダムノイズに近い性質を持っていることが知られている。
(2023.12.5更新)