トランスコード【transcode】トランスコーディング/transcoding
概要

通常、符号化済みのデータを別の仕様に変換するには、デコード(復号)してから改めてエンコード(符号化)する二段階の手順を踏む。トランスコードはこの工程を省き、圧縮されたままのデータを直接変換する。
処理時間の短縮や画質・音質の劣化抑制が期待できる一方、変換元と変換先の形式や条件によっては、内部でデコードと再エンコードを経由する実装もある。その場合、非可逆圧縮方式では品質が低下することがある。
同じ圧縮形式(コーデック)のまま、解像度(画素数)やビットレート(単位時間あたりのデータ量)、フレームレートなど一部の仕様を変更してデータを生成する場合と、別の圧縮形式のデータに変換する場合、その両方を同時に行う場合がある。データ形式の変更は「コンバージョン」(conversion)とも呼ばれる。
代表的な用途は、大画面向けの高解像度・大容量の動画データを、スマートフォンなど画面の小さいモバイル端末向けに解像度を下げてデータ量を削減する処理である。動画配信サービスでは、1本の高品質な元映像から複数の解像度・ビットレートの動画をあらかじめ生成しておき、利用者の通信環境や端末性能に応じて最適なものを配信する仕組みが用いられる。
広義には、受信側が対応していないコーデックやコンテナ形式のデータを、サーバ側で自動的に対応形式へ変換して配信する処理も含まれる。この場合、利用者側に明示的な操作を求めることなく、システムが透過的に変換を実行する。リアルタイム配信ではストリーミング中に変換処理が必要となるため、専用ハードウェアやGPUなどを用意して大量の演算を行うことが多い。
(2026.7.11更新)