電子透かし 【digital watermarking】 デジタルウォーターマーク
概要
電子透かし(digital watermarking)とは、画像や動画、音声などのデータに、関連する情報を人には知覚できない形で埋め込む技術のこと。専用のソフトウェアなどを用いることで埋め込まれた情報を検出することができる。一見何も描かれていないように見える部分から光の加減で像が浮き上がる「透かし」技術は紙幣の偽造防止などのために使われているが、電子透かしはこれと同じように人間にはほとんど分からない形でメディアデータ中に情報を埋め込むことができる。
静止画や映像、音声への埋め込み技術がよく知られ、データの編集や切り取り、再圧縮、再符号化などによって失われないよう偏在させる手法が提案されている。また、文字(テキスト)情報やコンピュータプログラム、印刷物へ埋め込む技術も研究されている。
著作権の保護や不正コピーの検知のために用いられることが多く、その場合は著作権者やロゴ、使用許諾先、コピーの可否や回数、コンテンツのID、課金情報などが埋め込まれる。著作権関連の用途以外にも、画像にWebサイトのURLを埋め込んで閲覧者を誘導するサービスやシステムなどが開発されている。
電子透かしの元になった技術で、メディアデータなどの中に情報を人間に知覚できないように埋め込む技術を「ステガノグラフィ」(steganography)という。これは暗号のように情報を秘匿して伝達するための技術で、埋め込まれる画像などと伝達する内容には必ずしも関連がない。
(2022.4.10更新)