AACS 【Advanced Access Content System】

概要

AACS(Advanced Access Content System)とは、Blu-ray Discで採用されている著作権保護のための映像・音声データのコピープロテクト技術。販売・レンタルされる映像ソフトやデジタル放送の録画などを違法コピーから守るために用いられる。

DVD-Videoで用いられたCSSのように一部メーカーのずさんな管理により暗号鍵が漏れ、暗号解読ソフトが開発されてプロテクトが無力化してしまった事例の反省を踏まえ、流出した暗号鍵を無効化する仕組みが組み込まれている。

AACSではデータが暗号化されて記録されており、正規の機器や再生ソフトでしかこれを復号できないようになっている。機器側に機種ごとに固有のデバイスキーが、メディア側にはタイトルごとに固有のタイトルキーと、デバイスキーとタイトルキーを繋ぐメディアキーが記録されている。ビデオレコーダーの場合は放送録画メディア作成用のメディアキーも持っている。

再生時にはデバイスキーでメディアキーを復号し、メディアキーでタイトルキーを復号し、タイトルキーでコンテンツを復号して再生するという手順をたどる。異なるデバイスキーからは異なるメディアキーが得られるが、いずれのメディアキーでもタイトルキーは復号できる。

デバイスキーとメディアキーは推定で一万種類程度が用意されていると言われており(正確な数は非公表)、特定の機種のデバイスキーが割り出されて暗号解読ソフトが開発されると、対応するメディアキーがリストから削除され、以降に作成されるメディアに記録されたデータはそのデバイスキーでは復号できなくなる。デバイスキーが解読されてしまった当該機種にはインターネットを通じた更新プログラムなどで開発元から新しい有効なデバイスキーが交付される。

有効なメディアキーのリスト(MKB:Media Key Block)はデバイスキーが解読されるたびに更新され、新たに発売される映像作品などにはその時点で最新のMKBが記録されて出荷される。ビデオレコーダー内部のMKBは、自身より新しいバージョンのMKBが記録されたメディアが挿入されると、これを複製して更新する。

AACSの仕様は米マイクロソフト(Microsoft)社、ソニー、パナソニック、東芝、米インテル(Intel)社、米IBM社、米ウォルト・ディズニー(Walt Disney)社、米ワーナー・ブラザース(Warner Brothers)社などが設立した業界団体AACS LA(Advanced Access Content System Licensing Administrator)が策定している。同団体が暗号鍵の管理や機器メーカー、映像ソフトメーカーへの交付なども行っている。

(2019.2.4更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。