DTCP-IP 【Digital Transmission Content Protection over Internet Protocol】

概要

DTCP-IP(Digital Transmission Content Protection over Internet Protocol)とは、家庭内LANなどのIPネットワーク上で、コピー制御技術により保護された映像データなどを暗号化して安全に伝送するための標準規格の一つ。コンピュータデジタル家電などの間でデジタル放送の録画データなどをやり取りすることができる。

従来のDTCPはケーブルで直に接続された機器の間で映像や音声などの保護されたコンテンツ暗号化する技術で、IEEE 1394i.LINK)で接続されたデジタルテレビとビデオレコーダーなどの間で利用された。

DTCP-IPはこれを拡張し、ローカルIPネットワーク上でコンテンツを保護しながら伝送する標準的な方式を定めている。暗号化には128ビット長の暗号鍵を用いるAESAdvanced Encryption Standard)が採用され、DTCPより安全性が強化されている。また、インターネットなどを通じてどこまでも転送することができないよう、ルータなどによる転送回数は2回まで(TTL3以下)、相手先までの到達時間は往復(RTT)7ミリ秒までに制限されている。

DTCP-IPではコンテンツの送信側をソース(source device)、受信側をシンク(sink device)と呼び、コピー制限されたコンテンツソースが発信してシンクが受信・再生できる(シンク側でデータは保存されない)ほか、機器間でコンテンツを移動(ムーブ)することができる。移動したコンテンツは移動元からは削除される。

AV機器情報機器LAN上で自動的に接続・設定するDLNAの推奨する暗号化方式となっており、DLNA機器間でコンテンツを伝送する際にも利用される。DLNAではDTCP-IPによる暗号化はオプションであるため、非対応の機器ではデジタル放送の録画などは伝送できないが、自ら撮影したムービーなど著作権保護のかかっていないコンテンツは伝送できる。

DTCP+

2012年に策定されたDTCP-IP 1.4で追加された機能を総称して「DTCP+」と呼ぶことがある。インターネットなどを通じて遠隔からストリーミング再生できるようになった。

家庭内のサーバ機器にスマートフォンなどで遠隔からリモートアクセスしてどこからでもコンテンツを再生できるが、ローカルネットワーク内でクライアントサーバ機器に登録する必要がある。また、チューナー内蔵の機器が直に遠隔へ送信することはできないため、HDDレコーダーなど録画機器から外部のNAS機器などに複製してそこから送信する利用法が基本となる。

(2020.10.27更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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