ADPCM 【Adaptive Differential PCM】 適応的差分PCM
概要
ADPCM(Adaptive Differential PCM)とは、音声などのアナログ信号をデジタルデータに変換する方式の一つで、信号を一定周期で標本化したものから直前の標本との差を求め、変動幅に応じて異なるデータ量で表現するもの。PCM(Pulse-Code Modulation)方式と同品質ながらデータ量を削減できる。単純なPCM方式(リニアPCM)では、ある周波数でサンプリング(標本化)した振幅の絶対値を常に同じビット数で量子化するが、音声などの自然な信号の多くは連続的に変化する性質があるため、直前の標本との差分は絶対値に比べ非常に小さいことが多い。
この性質を利用して、直前との差分をその標本を表す値として量子化する方式をDPCM(Differential PCM:差分PCM)という。単純なDPCMは常に一定の量子化ビット数を用いるが、データを削減しようとしてビット数を小さく取ると信号が急激に変化する箇所でデータが変化に追随できない場合がある。
この問題点を改良し、手前のいくつかの標本の変化の度合いから次の標本の差分を表現するビット数を動的に変化させるのがADPCM方式である。変化の緩やかな箇所では少ないビット数で、大きく変化する箇所では多いビット数で量子化することにより、リニアPCMとほとんど同じ品質を維持したまま大きくデータを削減できる。自然な音声を記録する場合で約6~7割程度までデータ量を減らせると言われる。
(2018.12.11更新)