Amazon S3 【Amazon Simple Storage Service】
概要
Amazon S3(Amazon Simple Storage Service)とは、米アマゾンドットコム(Amazon.com)社のクラウドサービス「Amazon Web Services」(AWS)の品目一つで、データの記録や読み書きが可能なオンラインストレージサービス。いわゆるオブジェクトストレージをクラウド方式で遠隔から利用できる。利用者の指定したデータのまとまりを「オブジェクト」(object)と呼ばれる単位で保存する。ファイルストレージのように階層構造のディレクトリなどはない。実際には利用者側のコンピュータのファイルをオブジェクトとして指定することが多い。
基本的な操作画面は同社の契約者向けWebサイトからアクセスすることができるほか、Windowsなど主要なオペレーティングシステム(OS)向けにコマンドラインツールやクライアントソフトなどが提供されている。
主な用途は顧客の情報システムで利用されるデータのバックアップや災害対策、システム上で重要度が下がった古いデータの長期保管(アーカイブ)、AWS上に構築されたアプリケーションのデータ保管などである。Webサイトやその一部のファイルなどをアップロードしてネット上に直に公開することもできるようになっている。
料金
料金はデータの保管(占有)容量、データの書き込みと取り出し、データのインターネット等への転送(配信)のそれぞれについて定められており、実際に使用した実績に基づいて月ごとに請求される。
価格はリージョン(地域)ごとに設定され、東京(ap-northeast-1)の場合は保管が最初の50TB(テラバイト)まで1GB(ギガバイト)あたり0.025米ドル、データ書き込みが1000件あたり0.0047米ドル、配信が月1GBまで無料、次の10TBまで1GBあたり0.114米ドルなどとなっている。データ取り出しや外部からの受信など、件数や容量に関わらず無料の動作もある。
プログラムからの利用
プログラム上からデータの読み書きや管理などの操作を受け付けるREST型のAPI(Application Programming Interface)が公開されており、各種のプログラミング言語向けのライブラリなども豊富に用意されている。
Amazon S3 APIは対応システムが数多く開発されたため、オブジェクトストレージ操作・管理用APIの事実上の標準として広く普及している。他の多くのオブジェクトストレージソフトウェアやクラウドサービスでも互換APIが採用されている。
AWS他サービスとの連携
Amazon Web ServicesではAmazon S3以外にもIaaSの「Amazon Elastic Computing Cloud」(Amazon EC2)や、リレーショナルデータベースの「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)、負荷分散システム「Amazon Elastic Load Balancing」(Amazon ELB)など数十のサービスが用意されている。Amazon S3とこれら他のサービスやシステムを連携させ、データの読み書きや移動を行うことも容易となっている。