ディザリング 【dithering】 ディザ / dither
概要
ディザリング(dithering)とは、アナログ信号のデジタル化や、画像データや音声データの縮減などを行なう際に、データに意図的にわずかなノイズを加え、加工・変換によって生じる境界部分の平滑化や誤差の周期化などを抑える手法。単純な処理法と比べ、人間の視覚や聴覚にとってより自然で美しく感じられる結果を得ることができる。デジタル画像におけるディザリング
画像処理におけるディザリングとは、画像の色数を削減したり、少ない色数で画像を作成・編集する際に、異なる色のピクセル(点)をバラバラに混ぜて配置することで中間色を表現する手法を指す。
例えば、白と黒の2色しか利用できない場合に、1ピクセルごとに白と黒を切り替えて市松模様の領域を作ると、その部分は人の目には灰色に見える。この原理を利用して、使用可能な色の中からいくつかの色を互いに近づけて配列することで、擬似的に中間色の滑らかな移り変わりを作り出すことができる。
単純に最も近い色で塗りつぶすより自然な見た目にすることができ、面塗りで生じる色の境界線もぼかしてグラデーション処理することができる。色の選択や配置の手法には様々な方式が提唱されており、「ハーフトーンディザリング」や「ランダムディザリング」、「誤差拡散法」などがよく用いられる。
デジタル音声におけるディザリング
音声処理におけるディザリングとは、サンプリング(標本化)や変換、加工の際、結果を特定のビット数に収めるために生じる誤差が周期的にならないよう、処理にわざとランダム性を加える手法を指す。
音声信号のように連続的に変化していくデータを加工する際、計算結果を記録可能なビット数に収めるためにどのデータにも同じ丸め処理(切り上げ、切り捨て、四捨五入など)を行うと、生じる誤差に周期性が現れ、これが人間の耳には不自然な音の歪みとして聞こえてしまう。これを避けるため、誤差に応じて確率的に値を選択するなどのランダム性を取り入れて、誤差がばらけるようにする。
(2024.1.9更新)