マスキング 【masking】
概要
マスキング(masking)とは、遮蔽(物)、覆い隠すこと、包み込むこと、などの意味を持つ英単語。動詞 “mask” の動名詞。IT分野では、データ中の特定の部位を隠したり、処理に影響しないよう一時的に無効にする処理などを指すことが多い。画像処理のマスキング
コンピュータグラフィックス(CG)の描画処理などで、背景画像の上に別の画像を重ねる際に、背景を透過させたい領域が塗りつぶされないように保護する処理をマスク処理あるいはマスキングという。
保護したい領域を指定したパターン画像(マスク画像)を作成し、背景画像に対してマスクと前景画像を連続でビット演算させることで、マスクされていない箇所のみ前景画像が描画された合成画像を得ることができる。
また、グラフィックソフトでは、塗りつぶしやフィルタ加工などを行う際に画像中の特定の部位が影響を受けないよう保護する機能をマスキングということがある。利用者が作成したマスクで覆われた箇所には加工や操作が及ばず、元の状態が維持される。
データマスキング
個人情報や機密情報が含まれるデータを扱う際に、識別情報など特定の部位のみを無意味な符号に置き換える処理を「データマスキング」、あるいは「データの匿名化」、「データスクランブル」という。
氏名や住所、電話番号など個人の特定に繋がる項目、あるいは何らかの非公開の項目について、事前に定めた置換ルールに基いて本来とは異なるデータで置き換える。郵便番号を一律「***-****」とするように、そのデータ項目の形式として無効な符号に置き換える場合と、形式的には有効だが実在しない内容や、ランダムに自動生成した架空の内容に置き換える場合などがある。
個人情報などが含まれデータ分析などへの利活用に制約があるデータも、マスキング処理を施すことで個人との紐づけが解かれ、分析や外部提供などがしやすくなる。元のデータセットからマスキングした複製を作成する手法を「静的データマスキング」、アクセス要求時にマスキング処理しながらデータを出力する手法を「動的データマスキング」という。
(2023.1.15更新)