AVIF 【AV1 Image File Format】 .avifファイル

概要

AVIF(AV1 Image File Format)とは、画像データの圧縮符号化方式およびファイル形式の一つ。動画圧縮方式の「AV1」と共通の手法で静止画像を圧縮し、HEIF形式のファイルとして保存したもの。ファイル名の標準の拡張子は「.avif」。

情報の欠落を許容する代わりに高い圧縮率を得る非可逆圧縮と、圧縮効率は低いが完全に元の画像に復元できる可逆圧縮のいずれかを選択できる。画像データの可逆圧縮で広く普及しているJPEGに比べ、同じ画質なら少ないデータ量で、同じデータ量なら高い画質で保存できるとされる。

sRGBなど複数の色空間やHDR(High Dynamic Range)に対応し、色深度画素の色情報)は8ビット(各色256段階)から12ビット(各色4096段階)まで対応する。GIFPNGなどのように透過色(アルファチャンネル)を指定したり、複数の画像を一つのファイルにまとめてアニメーションさせることもできる。

WebPHEICなどと共に次世代の高効率の画像形式として注目されており、Webブラウザや画像編集ソフト、画像ビューワーなどを中心に対応が進んでいる。Webページに埋め込む画像形式として採用する大手サイトも現れており、Webを中心に普及が進むことが見込まれる。

AV1およびHEICとの関係

AVIFの圧縮方式には動画圧縮符号化方式の一つである「AV1」(AOMedia Video 1)の技術を利用している。コンピュータでは動画は静止画の連続として表現され、圧縮時には各シーンの冒頭(キーフレーム、Iフレームなどと呼ばれる)を単体の画像として圧縮し、後続のフレームは一つ前との差分のみを符号化するという手法で圧縮率を高めている。

このAV1のIフレーム符号化に用いられる方式を単体の静止画像の圧縮に応用したのがAVIFで、圧縮したデータを画像ファイル保存形式(コンテナフォーマット)の一つである「HEIF」(High Efficiency Image File Format)を用いてファイルに格納している。HEIFAV1ではなくH.265/HEVCの方式で圧縮した画像を保存する形式は「HEIC」(High Efficiency Image Container)と呼ばれる。

AV1HEVCは圧縮率や展開時間(表示時間)はほぼ同等な一方、圧縮時間(作成時間)はHEVCが顕著に高速であるとされる。一方、HEVCはソフトウェアへ実装する際に特許料などのロイヤルティの支払いが必要となるが、AV1では不要(ロイヤルティフリー)となっている。AVIFとHEICの違いも基本的には同様だが、動画より静止画像の方が圧縮時の処理時間の差が問題となりにくい。

(2022.2.10更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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