分散オブジェクト技術 【distributed object technology】
概要
分散オブジェクト技術(distributed object technology)とは、複数のコンピュータ上に分散して配置されたソフトウェア部品(オブジェクト)同士がネットワークを通じて通信し、共通の呼び出し仕様に基づいて互いに機能を呼び出しあえるようにする技術。同じコンピュータ上で動作するオブジェクト間で連携して機能を呼び出す仕組みを拡張し、LANなどの通信ネットワークを通じて異なるコンピュータ上のオブジェクトの機能を利用できるようにする。実際には各コンピュータ上にORB(Object Request Broker)などの共通のミドルウェアを配置し、これを介して通信を行う。
分散オブジェクト技術の規格には様々な種類があり、CORBA/IIOPやHORBのように特定のOSや言語に依らず利用できるものや、WindowsのDCOM/COM+のように特定のプラットフォームでの利用を意図したもの、Java RMIのように特定のプログラミング言語の機能として提供されるものがある。
ORB (Object Request Broker)
分散オブジェクト技術の中核となるソフトウェアで、異なるコンピュータ上して実行されているプログラム間で、データや処理要求などのメッセージをやりとりするための仲介を行なうものをORBという。
ORBはオブジェクトの探索や相手先コンピュータへの接続、ネットワークプロトコル(通信規約)を用いた実際のデータの送受信、機種やOS、プログラミング言語などによって異なるデータ型や呼び出し規約の相互変換などを透過的に行ってくれる。
開発者は同じコンピュータ上のオブジェクトを呼び出すのとほとんど変わらない手法でネットワーク越しに相手方の機能を呼び出すことができるようになる。機能を提供するソフトウェアと利用するソフトウェアの双方が共通のORB規格に従って設計されている必要がある。
(2020.7.11更新)
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 独立行政法人産業技術総合研究所(AIST) 研究成果記事「ロボット用ミドルウエア技術の国際標準化活動を本格化」にて引用 (2005年2月)