明朝体
中国の明の時代に漢字の活版印刷を行うために整理された字体を元にしているためこのように呼ばれる。日本では明治時代にやはり活版印刷のために漢字と仮名の書体が整備され、書籍や新聞、雑誌などの本文に広く用いられるようになった。
線幅が一定でない字体には楷書体や教科書体もあるが、これらが筆などで人が書いた手書き文字に近い一方、明朝体は縦や横に伸びる画の多くを垂直・水平に寄せ、線幅をなるべく一定に保ってトメを字飾りのように三角の盛り上がりで表現するなど、独特の様式が見られる。
コンピュータでは、初期の解像度が低いディスプレイ装置だと輪郭が崩れやすく見にくかったため、画面表示に用いられるフォントはゴシック体が標準となっている。一方、ワープロソフトやDTPソフトなど印刷用途では明朝体が標準的に用いられ、本文など長い文章に設定されることが多い。
近年ではディスプレイの解像度が高精細化したため、メニューなどの表示に明朝体のフォントが用いられたり、長い文章を読むための表示モード(リーダーモード)などで本文を表示する用途に明朝体が用いられることも増えている。
なお、 欧文の場合は線幅に変化があり飾り付きの書体を「セリフ体」(serif font)と呼ぶのが一般的で、明朝体とセリフ体、ゴシック体とサンセリフ体が字形や用途などでほぼ対応関係にある。
(2022.5.25更新)