親指シフトキーボード
概要
親指シフトキーボードとは、日本語のかな入力を効率よく行えるようにかな文字のキー配列を工夫し、それらの入力を切り替えるための「親指シフトキー」と呼ばれるキーを導入したキーボード。富士通が1980年に発売したワープロ専用機「OASYS」(オアシス)において初めて採用された。一つのキーに最大3つのかな文字を割り振ることで、濁点・半濁点のついた文字を含むすべてのかな文字をアルファベットと同じ3段の範囲に収めている。タッチタイピングの際にホームポジションから指が届きやすい位置にすべてのかなキーが置かれている。
最大の特徴である「親指シフトキー」は、JIS配列のキーボードではスペースキーにあたる部分(最下段中央)にあり、左手親指で押す「親指左」キーおよび右手親指で押す「親指右」キーの2つがある。親指シフトキーの下には漢字変換を行うための変換・無変換キーがそれぞれ配置されている。
かな入力はかなキーと左右それぞれの親指シフトキーを併用して行う。かなキーのみを押すとかなキーの下段に印字されたかなが入力され、かなキーとそのキーを押す側の手の親指シフトキーを同時に押す(同時打鍵)ことで上段に印字されたかなを入力することができる。
また、かなキーと、そのキーを押す手とは逆の手の親指シフトキーを同時に押す(クロス打鍵)ことで下段の文字に濁点のついた文字を入力する。半濁点のついた文字は濁点のつかない文字のキーに割り振られており、クロス打鍵により入力できる。
濁点・半濁点のついたかな文字も含めてすべて1回の動作で入力できるため、習熟すればJIS配列のキーボードでのかな入力やローマ字入力に比べて高速かつ快適に日本語入力が行える。Windows用のキーボードも発売されたが、ローマ字入力の方が習得が楽であることもあり、広く一般に普及するには至っていない。
NICOLA (Nihongo Input Consortium Layout/日本語入力コンソーシアム基準配列)
1980年に富士通によって考案された日本語キー入力配列「親指シフト」を元にしたキー入力配列規格。業界団体の日本語入力コンソーシアムが策定・推進している。
右手と左手の役割を明確に分け、数字キーの下の3段に配置されたひらがなを、左右の親指シフトキーの打鍵の有無により最大3種類の文字を割り当てており、慣れれば非常に高速な日本語入力が可能になる。
記号のキー配列により富士通(OASYS)規格(F型)、ANSI規格(A型)、JIS規格(J型)の3つに分類される。ひらがなのキー配置はすべてに共通で、使用頻度に応じて「単独の打鍵により入力できる文字」「打鍵を担当する指と同じ手の親指と同時に打鍵する文字」「打鍵を担当する指と異なる手の親指と同時に打鍵する文字」の3種類に分類、配置されている。