イントラネット 【intranet】

概要

イントラネット(intranet)とは、TCP/IPなどのインターネット標準の技術を用いて構築された組織内ネットワークのこと。“intra-” は「中の」「~内」を意味する接頭辞

インターネットで標準的に用いられているプロトコル通信手順)であるIPInternet Protocol)を基盤として、IP対応の各種の技術や製品を組み合わせて業務に必要な機能を構築していく。

Web電子メールなどインターネットで広く普及しているシステムソフトウェアをそのまま流用することができ、インターネット上のサービスとの操作性の統合や、インターネットと連携したシステム構築などを容易にうことができる。

ネットワーク内の機器にはIPアドレスが割り当てられ、従業員が使用する端末クライアント)から各種のサーバアクセスして業務に必要なデータサービスを利用する。

一般的な構成では、各機器に割り当てられるのは構内ネットワークLAN)内でのみ通信可能なプライベートIPアドレスローカルIPアドレス)となっており、インターネットとの境界に設置されたルータファイアウォールなどの中継機器を介して安全を確保した上で通信できるようになっている。

離れた場所に複数の拠点がある組織や、従業員が遠隔地から内部ネットワークアクセスしたい場合には、認証暗号化で安全を確保した仮想的な専用の伝送路で拠点間や端末間を互いに結び、大きな一つの仮想的ネットワークVPNVirtual Private Network)を構築する手法が用いられる。

イントラサイト (イントラネットサイト)

イントラネット内に設けられた組織内向けのWebサイトのことをイントラサイト(イントラネットサイト)という。

内部ネットワークに設置されたWebサーバ上に構築され、インターネットなどを通じて外部からは直接閲覧できないか、利用者認証などで閲覧を制限していることが多い。

グループウェアや社内SNSなどのWebアプリケーションとして構築されることが多く、業務の遂行や情報共有、連絡や告知に必要な機能(掲示板やスケジュール管理、文書共有、各種手続き実行、メッセージシステムなど)がまとめられている。

社内データベースなどと連携し、様々な機能や情報が集約されたポータルサイト的なサイトを特に「企業情報ポータル」(EIPEnterprise Information Portal)などと呼ぶ場合もある。

歴史

現在ではLANなどをIPInternet Protocol)ベースで運用するのは一般的になったため、あえてイントラネットという呼称を用いる機会も減ったが、この用語が広まった1990年代後半頃までは、有力なコンピュータメーカーなどが各々独自に開発した仕様や技術などを用いて組織内のネットワークシステムを構築するのが一般的だった。

これらは特定の機種やOSのために設計されており、互換性相互運用性に乏しく、いったん一つの技術を導入すると限られた開発元の機器やソフトウェアしか選択できないなど、不自由で高コストになりがちだった。

一方、インターネットで標準となっている技術は多くの企業が対応製品を出荷し、オープンソースソフトウェアなども活発に開発されており、廉価な製品や運用目的に適した製品を見つけやすく、構築や管理などに必要な技術者や請負事業者なども手配しやすいという利点がある。

2000年前後にインターネットが爆発的に普及するに従ってイントラネットの持つこのようなメリットの重要度も増していき、主要メーカーも次々にIP対応を標準としていったため、現在では特殊な組織や用途を除いてほとんどのLANがイントラネットとなっている。

(2020.5.16更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事を参照している文書など (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる