仮想IPアドレス 【VIP】 Virtual IP address / フローティングIPアドレス / リロケータブルIPアドレス
概要
仮想IPアドレス(VIP)とは、複数の機器で共有されるIPアドレスのこと。システムの冗長化や負荷分散などのために用いられる。一つの機器内の複数の装置(ネットワークインターフェースなど)で共有する場合もある。通常、一つのIPアドレスは単一の機器やインターフェースに紐付けられ、ネットワーク内の他の機器が同じアドレスを使用することはできないが、仮想IPアドレスを用いることで複数の機器をグループ化して一つのIPアドレスに紐付け、他の機器に対して一つの機器のように振る舞わせることができる。
冗長化での利用
仮想IPアドレスがよく用いられるのは機器の障害に備えた冗長構成である。例えば、2台のゲートウェイに同じ仮想IPアドレスを割り当てて1台を稼動させ、もう1台の待機状態に置く。待機系は一定時間ごとに稼働系の状態を監視し、障害などで停止した場合には自らが稼動状態に移行する。
これにより、明示的な切り替え操作などを行わなくても常にどちらかのゲートウェイが接続を受け付ける状態を維持することができる。ネットワーク内の機器には一つのゲートウェイアドレスを設定しておくだけで現在稼働中の機器に接続することができ、接続先を切り替えなくてよい。
負荷分散での利用
インターネットに公開されている大規模な分散システムなどで、外部からの接続窓口となる負荷分散装置(ロードバランサ)やリバースプロキシなどに設定するグローバルIPアドレスのことを仮想IPアドレスということもある。
ロードバランサの内側のネットワークには複数の異なるIPアドレスを持つサーバが接続されており、外部に対しては仮想IPアドレスを統一されたサーバのアドレスとして公表する。外部から接続要求があると動的にアドレス変換を行って複数のサーバにアクセスを振り分け、負荷を分散する。
(2024.2.26更新)