キャリアグレードNAT 【CGN】 Carrier Grade NAT / LSN / Large Scale NAT / CGNAT / LSNAT
概要
キャリアグレードNAT(CGN)とは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)がインターネットと契約者回線の間で行うNAT(ネットワークアドレス変換)。契約者にはISP網内でのみ通用するプライベートIPアドレスが割り当てられる。家庭や企業などの構内ネットワーク(LAN)とインターネット回線の間で行われるNATと同じように、ISPから契約者の機器へはプライベートアドレスが配られ、インターネットとの境界にあるルータなどの機器がグローバルIPアドレスとの相互変換を行う。
ISPは少数のグローバルアドレスで多数の利用者へインターネット接続を提供でき、逼迫するIPv4アドレスを節約することができる。契約者はWeb閲覧や電子メールの送受信といった通常の利用は従来通り可能だが、インターネット側から着信するようなサーバの利用、多数のポートやセッションの同時利用などは制限される。
家庭などで従来から使われているプライベートIPアドレスとの重複・競合を避けるため、グローバルアドレス領域から切り取った専用のアドレス領域(100.64.0.0/10)を契約者に割り当てることが標準(RFC 6598/6890)として定められている。
同じグローバルアドレスで同時に複数(多数)の利用者がインターネット上で通信するため、通信状況の記録や利用者の識別が困難になる点や、家庭などのブロードバンドルータでも構内の複数の機器を接続するためNATを用いることが多く、多段NATとなってしまう点などの懸念や課題も指摘されている。
(2021.11.11更新)