送信元アドレス【ソースアドレス】source address
概要

フレームやパケットなどのデータの送受信単位には、発信元と宛先の双方の所在情報が記載されている。このうち発信者側を示す情報を「送信元アドレス」と呼び、通信相手の所在を示す「宛先アドレス」と対比される。受信側はヘッダ領域に記載された送信元アドレスを参照し、応答データを返送する際の宛先として利用することも多い。
具体的なアドレスの種類は、通信を行うネットワークの階層によって異なる。同一の物理ネットワーク内の機器間で直接通信を行うイーサネット(Ethernet)や無線LAN(Wi-Fi)などのリンク層では、機器ごとに固有の識別番号である「MACアドレス」が送信元アドレスとして用いられる。
一方、インターネットを介して異なるネットワーク間で通信を行うIP(Internet Protocol)では、各機器に割り当てられた「IPアドレス」が送信元アドレスとなる。実際の通信では複数の階層でそれぞれ異なる送信元アドレスが存在し、同じデータでもリンク層ではMACアドレス、インターネット層ではIPアドレスが送信元として扱われる。
送信元アドレスは、通信経路の制御や障害解析、不正アクセスの調査にも利用される。ルータやネットワークスイッチ、ファイアウォールなどの機器はヘッダ内のアドレス情報を参照し、転送先の決定や通信の許可・遮断を行う。ただし、送信元アドレスが常に実際の発信元を正確に示すとは限らない。IPネットワークではNATやプロキシによるアドレス変換が行われ、通信経路上で送信元アドレスが中継装置のものに書き換えられることがある。また、サイバー攻撃で攻撃者の所在や身元を隠すため、偽の送信元アドレスを記載する「IPスプーフィング」という手法もある。通信の真正性を確認する用途では、認証技術や暗号化技術と組み合わせて利用される。
ネットワーク通信以外の分野では、コンピュータのメインメモリ上でデータを転送や複製する際に、その読み込み元となるメモリ上の番地を指す場合がある。この場合は通信相手の所在ではなく、メモリ空間内における参照元の番地を意味し、ネットワーク分野における送信元アドレスとは異なる概念である。