ゼロサブネット 【subnet zero】 サブネットゼロ
概要
ゼロサブネット(subnet zero)とは、あるIPネットワークを複数のサブネットに分割する際にできる、IPアドレスのネットワーク部のサブネット部分がすべて「0」になるようなサブネットのこと。かつては禁止されていたが現代では許容されている。IPアドレスのブロックを運用する際、大きなアドレスブロックを複数の小さなブロックに分割することを「サブネット化」、分割された小さなブロックを「サブネット」という。
分割後、先頭のサブネットはIPアドレスのネットワーク部のうちサブネットを表すビットがすべて「0」となっており、分割前の大きなブロックのネットワーク部と同じネットワークアドレスとなる。これを「ゼロサブネット」あるいは「サブネットゼロ」という。
例えば、「198.51.100.0~198.51.100.255」というネットワークを「198.51.100.0」「198.51.100.64」「198.51.100.128」「198.51.100.192」から始まる4つのサブネットに分割すると、IPアドレスのネットワーク部のうちサブネットを表す部分はそれぞれ2進数で「00」「01」「10」「11」となる。先頭の「00」となるサブネットがゼロサブネットである。
IPアドレスをクラス分けして運用していた時代には、ルータなどが元の大きなネットワークとサブネットをうまく識別できないことがあったため、ゼロサブネットは機器の設定などで使うことができないようになっていることが多かった。1985年のRFC 950でも、サブネット部がすべて「0」あるいはすべて「1」となるサブネットは作らないよう勧告している。
現代では、サブネットマスクによりクラスに頼らず任意の長さでアドレスブロックの割り当てや識別を行う「CIDR」(Classless Inter-Domain Routing)が普及しており、ルータなども対応しているため、ゼロサブネットを禁止する設定や運用はほとんど廃止されている。米シスコシステムズ(Cisco Systems)社製ルータ製品では「ip subnet-zero」というコマンドでゼロサブネットを許可することができ、ほとんどの製品で出荷時に有効になっている。