ソースルーティング 【source routing】
概要
ソースルーティング(source routing)とは、中継機器が様々な経路を形成しているネットワーク上で、データの送信元が途中の伝送経路を指定する方式。いくつかの通信方式やプロトコル(通信規約)で見られるが、通常はIPネットワークにおける送信側の経路指定を指す。インターネットなどの大規模なIPネットワークでは通常、隣接するルータ同士が経路情報を交換し合い、データグラムが転送されてくる度に経路を調べて次の転送先を決定する。
IPの仕様では、このようなルーティング方式に加えて、送信元の機器が宛先までの間に経由すべきルータのIPアドレスをすべて列挙し、途中の機器がこれに従って転送していく方式が規定されている。これをソースルーティングという。
ストリクトソースルーティング(SSRR)とルーズソースルーティング(LSRR)
現在主流のIPv4では、送信側がIPデータグラムのヘッダ部に経由すべきルータなどのIPアドレスをすべて列挙する「ストリクトソースルーティング」(SSRR:Strict Source and Record Route)、いくつかの経由地を指定してそこへ至る経路は途中のルータに任せる「ルーズソースルーティング」(LSRR:Loose Source and Record Route)の二つが規定されている。
インターネットのように大規模で動的に構成が変化するネットワークでは、通常のデータの送受信にソースルーティングを用いることはほとんどないが、問題の調査のために特定の経路での伝送を行う必要がある場合などにSSRRが用いられることはある。LSRRは攻撃に悪用される恐れからインターネット上では転送を拒否されることが多い。
次世代のIPv6でも送信側が拡張ヘッダに経由アドレスを書き込める仕組みがあり、ルーズソースルーティング相当の経路指定が可能だったが、任意個の経由地を指定できるType 0のルーティングヘッダは攻撃に転用できるため廃止となった(中継地を一つだけ指定するType 2はモバイルIPv6などで利用される)。
(2020.3.16更新)