53番ポート 【port 53】 ポート53 / UDP53番 / TCP53番
概要
53番ポート(port 53)とは、インターネットなどの通信でアプリケーションの種類や通信規約(プロトコル)の識別に用いられるポート番号の一つ。TCPでもUDPでもDNSサーバの待受ポートとして用いられる。ポート番号とは
インターネットではネットワーク層のプロトコルとしてIP(Internet Protocol)を用いるが、その上位のトランスポート層のプロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)あるいはUDP(User Datagram Protocol)をよく用いる。
これらは同じ機器(一つのIPアドレス)で複数の異なるアプリケーションが同時に通信したり、異なる通信相手と同時に通信できるよう、データの送受信の窓口となる「ポート」という仕組みを備えている。ポートの識別や指定は0から65535までの整数で行い、これを「ポート番号」という。
53番ポートの用途
53番ポートはそのようなポート番号の一つで、IPネットワーク上でドメイン名とIPアドレスの対応付けなどを行うDNS(Domain Name System)が利用する。DNSサーバが他のサーバやクライアントからの接続を待ち受けるのに用いられ、外部からの要求に対して応答する。
この用途はインターネット運用団体のIANAに登録されており、いわゆる「ウェルノウンポート」(現在は正式には「システムポート」)の一つとして定着している。TCPもUDPも予約されており、DNSでは仕様上どちらでも利用できるようになっているが、通信の高速性を重視して通常はUDPが用いられる。
かつてはUDPでのDNS応答は512バイトまでという制約があり、データ量がこれを超える場合はTCPで接続しなおして同じ要求を再送するという手順(TCPフォールバック)が定められていた。1999年にEDNS0拡張仕様が策定され、以降はUDPでも長い応答が返せるようになったため、TCPでの通信はあまり用いられていない。
DNSが用いる他のポート
DNSには通信を暗号化する仕様が無いため、TCPの伝送路を暗号化するTLS(Transport Layer Security)を併用する「DoT」(DNS over TLS)が用いられることもある。その場合は通常のDNS通信と区別するため、専用のポート番号であるTCPの853番ポートを用いる。
また、TLSで暗号化された伝送路を用いてWebサーバに接続し、WebサーバがDNSの応答を返す仕様も策定され、「DoH」(DNS over HTTPS)と呼ばれる。その場合は通常のHTTPS接続と同じTCPの443番ポートを利用する。