ブロードキャストアドレス 【broadcast address】
概要
ブロードキャストアドレス(broadcast address)とは、ネットワーク内のすべての機器(ノード)にデータを一斉配信するために使われる特殊なアドレス。プロトコル(通信規約)ごとに形式が決まっている。ブロードキャストアドレスを指定して送信されたパケットやフレームは、そのネットワーク内の他のすべてのノードに配送される。ルータなどの中継機器を介して他のネットワークへ転送されることはない。ネットワークに接続したばかりの未設定の端末が、設定情報を教えてくれるサーバを探索するといった特殊な用途に用いられる。
イーサネット(Ethernet)などで用いられるMACアドレスでは全ビットが1の「FF:FF:FF:FF:FF:FF」がブロードキャストアドレスで、同一セグメント内のすべてのノードにフレームが届く。
IPv4のブロードキャストアドレス
現在インターネットで広く用いられているIPv4(Internet Protocol version 4)では、IPアドレスのホストアドレス部の全ビットを1にしたアドレスがそのネットワークのブロードキャストアドレスとなる。
例えば、ネットワークアドレスが「192.168.0.0」、サブネットマスクが「255.255.255.0」の場合、ホストを表す下位8ビットをすべて1にした「192.168.0.255」がブロードキャストアドレスとなる。そのネットワークに割り当てられたアドレス群の末尾のアドレスである。
また、ネットワークアドレスが分からない場合などには、「255.255.255.255」という特殊なIPアドレスを指定することで、その機器が属するローカルネットワークのブロードキャストアドレスとすることができる。インターネット全体へのブロードキャストという意味ではない。
IPv6のブロードキャストアドレス
次世代のIPv6(IP version 6)にはブロードキャストの仕様がないため、他のプロトコルと同じ意味でのブロードキャストアドレスも存在しない。
ただし、ネットワーク内のすべてのノードにマルチキャストするための「全ノードマルチキャストアドレス」(all-nodes multicast address)と呼ばれる特殊なアドレスが用意されており、近い用途に用いることができる。
「FF01::1」がインターフェースローカルの、「FF02::1」がリンクローカルの全ノードマルチキャストアドレスとして定義されている。