ソフトウェアルータ 【software router】 ソフトルータ
概要
ソフトウェアルータ(software router)とは、専用の通信機器を用いずに、汎用のサーバコンピュータをルータとして機能させるソフトウェア。コンピュータのネットワーク機能を介してルーティング処理を行い、他の機器に対してルータとして振る舞う。ルータは異なるネットワークの間でデータの中継・転送を行う機器で、ネットワーク上の経路情報を隣接ルータと交換して目的地に応じた経路選択を行う。通信事業者や企業などでは業務用の高性能なルータを、家庭ではブロードバンドルータなどを用いるのが一般的で、いずれも専用の通信装置として提供される。
ソフトウェアルータはパソコンやPCサーバなど汎用的なコンピュータに導入するソフトウェアとして実装されたルータで、BGPやOSPF、RIPなど各種ルーティングプロトコルによる経路情報の交換に対応するほか、ファイアウォールやVPN、DHCPサーバなど付加的なネットワーク機能に対応しているものもある。
ソフトウェアであるため構成や設定、運用機器の変更や置き換えなどに柔軟に対応でき、他のネットワークソフトなどと併用してルータ以外の役割を追加することも容易である。
一方、専用のルータ製品は通信処理専用の半導体チップや専用のオペレーティングシステムなどで高速化・最適化を図っていることが多いため、同じ導入コストをかけるなら汎用サーバとソフトウェアルータの組み合わせの方が性能面では劣ることが多い。
オープンソースとして公開されているソフトウェアルータとして「Vyatta」(ビアッタ)が有名で、Linuxサーバなどに組み込んで利用される。日本発のソフトウェアルータ製品としてはIIJの「SEIL/x86」などがよく知られる。
Wi-Fiアダプタのソフトウェアルータ機能
パソコン向けの無線LAN(Wi-Fi)アダプタ製品の中には、アダプタを装着したパソコンに添付のソフトウェアを導入することでWi-Fi親機(無線アクセスポイント)にする機能をソフトウェアルータと呼んでいるものがある。
パソコンをアクセスポイントにして他のWi-Fi端末からの接続を受け付け、有線LAN(Ethernet)側に接続されたネットワークとの間で中継を行う。これは一般的にはWi-Fiテザリングと呼ばれる機能である。