マルチレイヤスイッチ 【multilayer switch】

概要

マルチレイヤスイッチ(multilayer switch)とは、ネットワークの中継機器の一つで、複数の異なるプロトコル階層の制御情報を参照し、転送先の判断などを行うもの。一般的にはL3スイッチを指すことが多いが、これとL4スイッチ、L7スイッチなどを含む総称とする場合もある。

一般的なネットワークスイッチはL2スイッチ(レイヤ2スイッチ)であり、OSI参照モデルでいう第2層(リンク層データリンク層などとも呼ばれる)の制御情報により転送制御を行う。

これに対し、L3スイッチではリンク層の情報に加えて第3層のネットワーク層にあたるIPInternet Protocol)ヘッダなどに記載された情報も取得し、両者を組み合わせた転送ルールなどを設定することができる。リンク層のみを用いるスイッチともIP層のみを用いるルータとも異なる制御方式であるため「マルチレイヤ」と呼ばれる。単に複数階層にまたがる制御が可能なだけでなく、専用のハードウェアを用いて転送処理を高速に実行できるなどの特徴がある。

また、L4スイッチは第4層(トランスポート層)のTCPTransmission Control Protocol)やUDPUser Datagram Protocol)の制御情報を用いるが、これに加えてIP層の情報も利用するため、マルチレイヤスイッチの一種に分類する場合がある。同じように、IP層からアプリケーション層(第7層)までの情報を総合的に用いるL7スイッチ(アプリケーションスイッチWebスイッチコンテンツスイッチ)もマルチレイヤスイッチの一種とすることがある。

(2018.11.12更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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