クラスフル 【classful】

概要

クラスフル(classful)とは、IPアドレス(IPv4アドレス)の割り当てや運用経路選択の方式の一つで、あらかじめアドレスの範囲や数の定められた「クラス」と呼ばれる単位によってアドレス空間を分割し、各組織に割り当てる方式。

クラスフルアドレッシング (classful addressing)

かつてインターネット上のIPv4アドレスの割り当てや運用で用いられていた方針で、アドレス空間全体をサイズの異なる「クラス」(class)に分割し、組織の大きさなどに応じて発行する仕組みを「クラスフルアドレッシング」(classful addressing)という。

クラスはAからEまであり、クラスAは前半8ビットネットワークアドレス、後半24ビットホストアドレスである。クラスBは前半16ビットが、クラスC24ビットネットワークアドレスで、残りがホストアドレスである。クラスDはIPマルチキャスト用、クラスEは実験用に予約された特殊な領域である。

インターネットの初期に用いられた割り当て方式だが、大雑把すぎて効率が悪く、割り当てられたものの使われずに放置されるアドレスが大量に発生する一方、インターネットの普及に伴い新規にアドレス割り当てを望む組織が激増したため、柔軟に割り当てブロックのサイズを変更できるクラスレスclassless)方式に移行した。

クラスフルルーティングプロトコル (classful routing protocol)

ルータ間の経路情報の交換に用いられるルーティングプロトコルのうち、IPアドレスサブネットマスク情報を加えずに伝達するものをクラスフルルーティングプロトコルという。RIPv1IGRPなどが該当する。

アドレスクラスに基づいて割り当てられていることを前提に、IPアドレスのみからネットワークアドレスを割り出す。現在のインターネットではクラスとは無関係に任意のサイズにアドレス空間を分割して割り当てるクラスレスアドレッシングわれているため、ほとんど使われていない。

(2020.4.25更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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