リンクローカルアドレス 【link local address】 169.254.xxx.xxx / fe80::/64
概要
リンクローカルアドレス(link local address)とは、ネットワーク上で用いられるアドレスの一種で、その機器が物理的に直接通信できる範囲でのみ有効なもの。「169.254.」で始まる特殊なIPアドレスを指すことが多い。IPv4では、「169.254.0.0」から「169.254.255.255」までのアドレス領域が、IPv6では「fe80:0:0:0:」で始まる領域(fe80::/64)が、リンクローカルアドレス用に予約されている。ルータなどの機器はこのアドレスからのデータを他のネットワークに転送できない。
IPv4の場合、端末に固定的なアドレス設定が行われておらず、周囲のDHCPサーバなどにも接続できない場合に、「APIPA」(Automatic Private IP Addressing)あるいは「AutoIP」と呼ばれる仕組みにより、リンクローカルアドレスからランダムに一つを選んで自動的に設定する。
リンクローカルアドレスの仕様上は同じLANセグメント内に別のリンクローカルアドレスを持つ機器があれば通信可能だが、APIPAは有効なアドレス設定に失敗したために起動しているので、実際には通信不能な状況に陥っている場合がほとんどである。
IPv6リンクローカルアドレス
IPv6の場合には、有効なアドレスの有無を問わず、機器をネットワークに接続すると必ず一つのリンクローカルアドレスが設定される仕様になっている。このアドレスにより近隣の端末やルータと交信することができ、アドレス自動設定や近隣探索などが行われる。インターネット接続用のアドレスなどを別に取得した場合には、複数のアドレスを併用する形となる。
なお、イーサネット(Ethernet)やWi-Fiなどの物理的なネットワークで機器の識別に用いられる「MACアドレス」もリンクローカルアドレスの一種に分類される。ネットワークセグメント内では一意であることが保証され、ルータを超えて別のネットワークとの機器との通信に用いることはできない。
(2024.2.29更新)