CIDR 【Classless Inter-Domain Routing】 クラスレスアドレッシング / classless addressing

概要

CIDR(Classless Inter-Domain Routing)とは、インターネット上のIPアドレスの割り当てと経路選択(ルーティング)を柔軟に運用する仕組み。IPアドレスクラス分けを廃止し、組織の規模に応じて割り当てるアドレスの数を柔軟に選択できるようにした上で、アドレスブロックをグループ化して経路情報を集約するようにしたもの。

インターネット普及の初期、IPアドレスは3段階の固定サイズの「クラス」に分類され、組織規模に応じて割り当てられていた。「クラスA」は上位8ビットネットワーク部で残り24ビットホスト部、「クラスB」はネットワーク部が16ビット、「クラスC」は24ビットである。

しかし、AとB、BとCでそれぞれ256倍もアドレス数が異なり、クラスAは一つのブロックが1677万アドレスもあるため、インターネットの急激な普及により未割り当てアドレス領域が逼迫する一方、割り当て済みの組織ではアドレスを活用できずに大量に余らせてしまうという事態が生じた。

サブネットマスクとCIDR表記

そこで、CIDRでは1ビット単位で可変長の「サブネットマスク」(subnet mask)というIPアドレスと併用し、ネットワーク部の大きさを指定するようにした。これにより割り当てるアドレスブロックのサイズを柔軟に変更できるようになった。

例えば、サブネットマスク2進数で「11111111 11111111 11111111 11110000」ならば、先頭から28ビットネットワークアドレスで、残り4ビットホストアドレスとなる。ブロックの表記はネットワークアドレスの末尾に「/」とサブネットマスクビット数を付加して「198.51.100.0/28」のように記述する。これを「CIDR表記」ということがある。

CIDRブロック

CIDRの導入以降、アドレスブロックの割り当てはCIDRブロックと呼ばれる単位を用いてわれるようになり、地理的に大きな範囲を管轄する組織(例えば大陸を管轄する地域インターネットレジストリ)に大きなブロックを割り当て、これを分割してより小さい組織(例えば各国を管轄する国別レジストリ)に割り当てるという階層的なアドレス管理が導入された。

大きなCIDRブロックは内部に下部組織に割り当てた小さなCIDRブロックを含む構造となり、上位ビットが一致するアドレス同士は地理的に近く、途中まで同じ経路で到達できるという関係になった。ルーティングに用いる経路情報をまとめる「プリフィックス集約」が可能となり、少ない経路情報で効率的に経路選択できるようになった。

(2024.1.23更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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