DHCPクライアント 【DHCP client】

概要

DHCPクライアント(DHCP client)とは、インターネットなどのIPネットワークに接続する機器が持つ機能の一つで、DHCPという通信規約(プロトコル)を用いて接続先のネットワークから接続設定を自動的に取得し、適用するもの。

IPネットワーク通信を開始するには機器の識別番号であるIPアドレスなど接続設定を適切に指定する必要があるが、設定はネットワークごとに異なり、切断後の再接続時には変更されることもあるため、接続の度に管理者に設定情報を問い合わせて入力するのは煩雑で手間がかかる場合がある。

このため、管理者はそのネットワークで有効な設定情報をDHCPサーバと呼ばれるコンピュータで公開し、新たに接続した機器はDHCPクライアント機能でこれにアクセスして自動的に情報を取得、機器内の設定も自動的に書き換えるという仕組みが用いられる。

利用者は機器内の接続設定でDHCPクライアントを有効に指定するだけで、あとは接続する度に内蔵されたDHCPクライアントが適切な設定を取得してくれるため、設定を手動で行う必要が無くなる。難解な専門用語で書かれた設定を入力せずに済み、また、携帯機器を持ち運んで様々なネットワークに接続する際、いちいち再設定しなくて済む。

管理者側も対人の問い合わせが不要になり、誤設定に起因するトラブルも避けることができる。IPアドレスも接続時に動的に割り当て、切断時に回収して新たに接続してきた機器に再割り当てできるようになるため、すべての機器に固定的に割り当てなくても最大同時接続数だけ用意しておけば良くなる。インターネットに直接接続できる(IPv4による)グローバルIPアドレス資源は世界的に逼迫しているため、運用者側にとっては特に大きな利点となる。

DHCPクライアント機能はパソコンスマートフォンデジタル家電、家庭用ゲーム機などネットワーク接続が可能な機器のほとんどにあらかじめ内蔵されており、利用者が明示的に追加する等、存在を意識する機会はほとんどない。

家庭用のブロードバンドルータなどの製品には、インターネットサービスプロバイダISP)からグローバルIPアドレスなどの設定情報を受信するためのDHCPクライアント機能と、屋内のパソコンスマートフォンなどにローカルIPアドレスを払い出すためのDHCPサーバ機能を内蔵し、両方同時に使用する例もある。

(2021.4.22更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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