パスベクタ型ルーティングプロトコル 【path-vector routing protocol】 パスベクトル型ルーティングプロトコル

概要

パスベクタ型ルーティングプロトコル(path-vector routing protocol)とは、ルーティングプロトコルの特徴・分類の一つで、隣接するルータ間でルーティングテーブル(経路表)を交換し合い、どの隣接ルータを経由すれば最も低コストで宛先に届くかを基準に経路を指定する方式。インターネットの組織間の接続に用いられるBGPの経路選択方式である。

ルーティングプロトコルIPネットワーク上でパケットを転送するルータ間で情報を交換する通信規約で、経路情報を相互に交換して経路選択えるようにする。パスベクタ型は、宛先までの経路ホップ数を基準に選択する「ディスタンスベクタ型」の一部を改変した方式である。

ディスタンスベクタ型では、各ルータは隣接するルータから送られてきた経路表の中から、未知のネットワークや既知の経路より短い経路が見つかると、これを自分の経路表に追加して、自分の経路表を作る。これをさらに別の隣接するルータに送信し、バケツリレーにすべてのルータ間で経路情報を共有する。パスベクタ型も基本的な手順は同様である。

経路の決定方法

ディスタンスベクタ型ではプロトコル側で経路ホップ数などを元に各経路のコストが機械的に計算されるが、パスベクタ型では各ネットワークの管理者が経路の優先度などを「パス属性」(path attribute)として設定することができ、柔軟に経路選択を制御することができる。

パス属性には「ORIGIN」「NEXT_HOP」「LOCAL_PREF」など10種類が用意されており、各ルータと隣接ルータの間のパスには何らかの属性が与えられる。目的地までの経路が複数ある場合、それぞれの経路は様々な属性を持つパスの集まりとして表現される。

最良の経路を選択するアルゴリズムが定義されており、これに従って各経路を比較し、最も優れたものを選択する。アルゴリズムは「LOCAL_PREF属性が最も大きいルートを選ぶ」など10のルール(Cisco社製ルータ間では11)から構成され、それぞれに優先順位が付けられている。優先順位の高いルールから適用していき、同じだった場合は下位のルールを適用する。

(2024.9.4更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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