マルチキャストアドレス 【multicast address】

概要

マルチキャストアドレス(multicast address)とは、ネットワーク上の所在地を表すアドレスの種類の一つで、特定の複数のノードで共有されるもの。そのアドレスに送信されたデータは経路上で複製されてすべてのノードに届く。

マルチキャスト(multicasting)はIP(Internet Protocol)などに用意されている仕組みで、ネットワーク上で互いに離れた位置に存在するノードをグループ化し、一つのアドレスを共有する。

送信者がマルチキャストアドレスを指定してデータを送信すると、ルータなどの経路上にある中継・転送機器がデータを適宜複製し、グループに所属する端末すべてに同じデータが送り届けられる。

放送のように単一の送り手が多数の受け手にデータを送信する場合、通常の送信方法では受け手ごとに何度も繰り返しデータを送信しなければならないが、マルチキャストであれば一度送信すれば経路上で自動的にデータが複製されて拡散していくため効率的である。

これに対し、ネットワーク上の特定の一台を指し示すアドレスを「ユニキャストアドレス」(unicast address)、あるネットワークに参加するすべてのノードを同時に指し示すアドレスを「ブロードキャストアドレス」(broadcast address)という。

IPv6ではマルチキャストに似た仕組みとして、グループに所属する複数の機器のうち送信者から最も近い一台のみにデータが届くエニーキャストanycasting)が導入された。グループ内で共有するアドレスを「エニーキャストアドレス」(anycast address)という。

(2020.1.22更新)