エグレス【egress】イーグレス

概要

エグレスとは通信の方向を表す概念の一つで、ある機器やシステム、ネットワークを基準として、内部から外部へ流れ出る通信のこと。「送信」「発信」「流出」などとほぼ同義。対義語は外部から内部へ流入する通信を指す「イングレス」(ingress)である。“egress” の本来の読みは「イーグレス」に近い。
エグレスのイメージ画像

エグレスは、機器やネットワークの境界を基準として、そこから外へ向けて出発するデータの流れを指す言葉である。例えば、ルータのある通信ポートから外部へ送信されるパケットは、そのポートにとってエグレス通信となる。

同じパケットが外部の機器から別のポートに受信した段階では、そのポートにとってはイングレス通信となる。このように、エグレスかイングレスかは通信そのものの性質ではなく、どの機器やインターフェースを基準にするかによって決まる。

ネットワーク運用では、内部から外部へ送信される通信を監視し、不正なデータの持ち出しや、マルウェアに感染した端末から外部の攻撃用サーバへの通信を遮断する目的で、「エグレスフィルタリング」という仕組みが用いられることがある。また、クラウドサービスでは、クラウド環境から手元の端末や他のネットワークデータを転送する際の通信量に対して、「エグレス料金」と呼ばれる従量課金が設定されている場合が多い。

エグレスと似た概念に、「アウトバウンド」(outbound)がある。コネクションなどの伝送経路やセッションのような一連の送受信の集合が、内部を起点として開始されたことを意味する言葉であり、通信の開始主体や接続全体の方向性を表す。一方でエグレスは、個々のパケットデータが境界をどちらへ通過するかという、送信方向そのものに着目した概念である。両者は重なる場面が多いものの、指している対象が異なる。

「上り」や「アップストリーム」(upstream)という表現も送信方向を表す場面で使われることがあるが、これらは利用者と通信事業者、端末とサーバのように、通信する二者の間に立場や位置関係の非対称性がある場合に用いられる概念である。この場合、どちらの当事者から見ても、中心側へ向かう流れが上り方向とされる。一方でエグレスとイングレスは、対象となる機器やシステムを基準とした相対的な方向を表すものであり、通信相手との立場の上下関係を前提とはしない。

(2026.6.21更新)
 

他の辞典等による「エグレス」の解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。