IS-IS 【Intermediate System to Intermediate System】

概要

IS-IS(Intermediate System to Intermediate System)とは、異なるネットワークを接続した際にルータ間の経路情報の交換を行うルーティングプロトコルの一つ。もともとOSIネットワーク向けに開発されたもので、実際に使われているのはIPネットワークで使用できるようにした「Integrated IS-IS」。

自律システムASAutonomous System)内部のルーティングに用いられるIGP(Interior Gateway Procol)の一種で、ルータ同士の隣接関係を元に経路を探索するリンクステート型ルーティングプロトコルに分類される。

ルータは自らと直接繋がれた隣接ルータのリストを送受信し合い、ネットワーク内でどのルータとどのルータが繋がっているのかを表すデータベース(LSDBリンクステートデータベース/トポロジーデータベース)を構築する。この接続情報を元に、宛先までの最短の経路を探索して経路を決定する。

同じリンクステート型としてOSPFOpen Shortest Path First)がよく知られているが、もともとOSPFはIS-ISを参考に開発された経緯があるため、両者の仕様や仕組みには共通点が多い。IPv4IPv6が共存している環境の場合、OSPFではそれぞれ異なるバージョンのプロトコルIPv4はOSPFv2、IPv6はOSPFv3)を独立に用いるが、IS-ISは両者に同時に対応できる。

IS-ISは1990年代初期にネットワーク相互接続の標準規格「OSI」(Open Systems Interconnection)のために開発されたが、OSIは普及せずIPInternet Protocol)によるインターネットが標準となったため、IPアドレスなどIP固有の仕様に対応した「Integrated IS-IS」(Dual IS-IS)が策定された。

OSI向けの標準規格としてはISO(国際標準化機構)がISO 10589を策定されており、IP向けの規格としてはIETFInternet Engineering Task Force)がRFC 1142としてIS-IS自体の仕様を、RFC 1195としてIntegrated IS-ISを、RFC 5308としてIPv6対応仕様をそれぞれ策定している。

(2021.8.25更新)

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