ピアリング【peering】

インターネットは無数の独立したネットワークが相互接続されて成り立っている。各ネットワークは「自律システム」(AS:Autonomous System)と呼ばれる単位で管理されており、通信事業者やインターネットサービスプロバイダ(ISP)、コンテンツ配信事業者(CDN)、クラウドサービスプロバイダなどがそれぞれ独自のASを持っている。
異なるAS間で通信を可能にする方法として、上位の大規模ネットワークに転送を委託する「トランジット」(transit)と、対等な立場で直接接続する「ピアリング」(peering)の二つが存在する。ピアリングには、二者間で相対で接続する「プライベートピアリング」(private peering)と、複数の事業者が共通の接続点で相互接続する「パブリックピアリング」(public peering)がある。後者はインターネットエクスチェンジ(IX)と呼ばれる施設で行われることが多く、多数のネットワークが効率的に接続される仕組みとなっている。
ピアリングの条件や方針は各ネットワーク運営者同士の交渉によって決まり、トラフィック量や相互利益のバランスに基づいて決定される。無償で行われる場合もあれば、一定の条件を満たす必要がある場合もある。経路制御にはBGP(Border Gateway Protocol)が用いられ、各ネットワークは自らのポリシーに従って経路を選択する。
ピアリングによって直接接続されるネットワークが増え、通信経路が短縮されることで、レイテンシの低減や帯域コストの削減、通信品質の向上といった効果が期待できる。近年では、米グーグル(Google)社や米ネットフリックス(Netflix)社などの大規模コンテンツ事業者、米クラウドフレア(Cloudflare)社などの大規模CDN事業者が世界中のISPと積極的にピアリングを行っており、末端の利用者への安定したコンテンツ配信を実現している。