RIP 【Routing Information Protocol】 RIPv1 / RIPv2
概要
RIP(Routing Information Protocol)とは、IPネットワークで用いられるルーティングプロトコルの一つ。ルータなどの通信機器の間で経路情報を交換し、ある地点から別の地点までの最短経路を割り出すのに使われる。自律システム(AS:Autonomous System)の内部で経路選択を行なうIGP(Interior Gateway Protocol)として使われる。RIPでは経路選択(ルーティング)に「ディスタンスベクタ型」(距離ベクトル型)と呼ばれる方式を用いる。隣接するルータ間でルーティングテーブル(経路表)を交換し合い、どの隣接ルータを経由すれば最短のホップ数(中継機器を通過する回数)で宛先に届くかを基準に経路を指定する。
経路を算出するための計算量が少なく、性能の低い機器でも利用できる。比較的単純な方式であるため、管理や設定も行いやすい。一方、経路の収束には時間がかかり、ホップ数が15を超える経路は利用できないなどの制約がある。
現在では「RIPv1」と呼ばれる最初のバージョンは、1988年にIETFによってRFC 1058として標準化された。これは経路情報の交換にブロードキャストを用いるため通信量が多く、また、ネットワークの分割がクラス単位でしか行えなかった(クラスフルルーティングプロトコル)。
1998年に策定された「RIPv2」(RIP version 2)ではマルチキャストを採用して通信量を抑え、また、可変長サブネットマスク(VLSM:Variable Length Subnet Masking)に対応し、アドレスクラスに関わりなくルーティングできるCIDR(Classless Inter-Domain Routing)が可能となった。機器間の認証にも対応している。1997年にはIPv6で用いることができる「RIPng」(RIP next generation)が策定された。
(2020.7.6更新)