IGRP 【Interior Gateway Routing Protocol】
概要
IGRP(Interior Gateway Routing Protocol)とは、米シスコシステムズ(Cisco Systems)社のネットワーク機器で用いられるルーティングプロトコルの一つ。インターネットなどで各組織が保有・運用している小規模ネットワークである自律システム(AS:Autonomous System)の内部のルーティングに用いられるIGPの一種。古くから標準的に用いられてきたIGPの一つであるRIP(Routing Information Protocol)と同じディスタンスベクタ型のプロトコルで、ある程度以上の規模のネットワークで問題となるRIPの様々な制約を改良している。
RIPと比較すると最大ホップ数は15から255に拡張され、ルート選択に用いるメトリック値の算出にホップ数以外の要素(帯域幅、遅延、信頼性など)を含めることができるようになった。また、コストの異なる経路間で負荷分散(ロードバランシング)を設定(不等コストロードバランシング)できるようになり、各経路の通信量の制御をより柔軟に行うことができる。
その後、IGRPをさらに拡張してCIDR(Classless Inter-Domain Routing)や可変長サブネットマスク(VLSM)などに対応した「EIGRP」(Enhanced IGRP)が同社により開発されたため、現在ではIGRPは既に使われていない。IGRPもEIGRPもシスコ社独自の仕様であるため、原則として同社製品のみで構築されたネットワーク内で用いられる。
(2019.12.15更新)