マルチキャスト 【multicasting】

概要

マルチキャスト(multicasting)とは、通信ネットワーク上で、特定の複数の相手に同じデータを同時に送信すること。送信側はデータを一度送信するだけで、経路途上の通信機器が受信者のいる経路にだけデータを複製して送り届ける。

特殊なアドレスと通信制御によって可能となる同報送信の一種で、複数の機器をグループ化し、一度の送信でグループ内のすべての機器にデータを送り届けることができる。一対多の放送型の配信などに用いられる。IPネットワーク上でわれるものは「IPマルチキャスト」と呼ばれる。

ユニキャストとの違い

通常の一対一の通信方式を「ユニキャスト」(unicasting)というが、これを用いて複数の相手に同じ内容を送る場合、受信者の数だけ何度も同じデータを送出しなければならないため、同じ回線と中継機器に同じデータが何度も繰り返し流れることになる。

一方、マルチキャストでは同じデータは同じ経路を一度しか通過せず、必要に応じて中継機器が複製をうため、受信者が増えても通信回線や中継機器への負荷の増大は抑えられ、効率的に一斉配信することができる。

ブロードキャストとの違い

複数の相手に一斉にデータを送る方式としては「ブロードキャスト」(broadcasting)もある。ネットワークに参加する「全員」を表す特殊な宛先アドレスを指定してデータを送り出すと、すべての機器が自分宛てのデータと同じように受信処理をう。

一度の送出で複数の相手に送り届けることができるが、同一ネットワーク上のすべての相手に送るため不要な相手でも宛先から除外することはできない。また、マルチキャストが多用されるとあっという間に回線が混雑してしまうため広域的なネットワークで使用することはできない。同一LAN上など限られた範囲で、特殊な用途に限定して使用される。

(2024.3.4更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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