ブラックホールルータ 【black hole router】 PMTUDブラックホール / Path MTU Discovery Black Hole

概要

ブラックホールルータ(black hole router)とは、TCP/IPネットワーク上で運用されているルータのうち、ある特定の条件の元でデータを転送できず破棄していまい、そのことを送信元にも通知しないもの。また、そのような現象。データが転送途上で吸い込まれて消えてしまうように見えるためこのように呼ばれる。

インターネットのように様々なネットワークや通信方式が混在する場合、中継機器間の回線や接続方式により一度に伝送できる最大データ長MTU:Maximum Transfer Unit)が異なる場合がある。IPデータグラム経路の途中で一度に運べない狭い回線に出くわすと、ルータがこれを複数の短いデータグラムに自動的に分割(フラグメント)し、何回かに分けて運ばれる。

このとき、IPデータグラムの設定値として「分割禁止」(DFビット:Don't Fragment)が有効になっていると、ルータはそれ以上先へは転送できないため、データを破棄して送信元に「この先へは転送できない」旨を伝えるICMPメッセージを返送する。

ところが、ルータの仕様によってはこのメッセージを返さないものがあり、送信側から見ると長いIPデータグラムを送信するといつもそのルータに差し掛かったところで消失して何の応答もないという状況が発生する。この状態をルータのブラックホール現象という。

ブラックホールルータは最大データ長に満たない短いデータグラムは問題なく通し、一見正常に機能しているように見えるため、通信障害の原因がブラックホール現象であることになかなか気づかない場合もある。

(2018.11.25更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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