リミテッドブロードキャストアドレス【limited broadcast address】
概要

このアドレスを宛先に指定してパケットを送信すると、送信元と同じネットワークに接続されているすべての機器にデータが届く。受信した各機器は自分宛ての通信としてこれを処理する。ルータはこのアドレス宛のパケットを他のネットワークへ転送しない。通信の届く範囲は、送信元が属するローカルネットワーク内に限られる。「リミテッド」(limited)という名称はこの性質に由来する。
代表的な用途がDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)の初期通信である。ネットワークに接続したばかりの端末はまだIPアドレスを持たず、DHCPサーバのアドレスも不明である。このとき端末は送信元を「0.0.0.0」、宛先を「255.255.255.255」としてパケットを送り、同一ネットワーク内のDHCPサーバへ応答を求める。BOOTPやZeroconfなど、ネットワーク設定を自動化する他のプロトコルでも同様に利用される。
IPv6ではIPレベルでのブロードキャストの仕組み自体が廃止され、一斉配信を行うアドレスはマルチキャストアドレスのみとなっている。同一ネットワーク内のブロードキャストが必要な場合はイーサネット(Ethernet)など物理的なネットワーク仕様の仕組みを使うべきとされる。リミテッドブロードキャストアドレスはIPv4固有の仕組みである。
ディレクテッドブロードキャストアドレス
類似する特殊なアドレス指定として「ディレクテッドブロードキャストアドレス」(directed broadcast address)がある。ネットワークアドレス部はユニキャストアドレスと同様に指定し、ホストアドレス部のみをすべて「1」としたもので、例えば「198.51.100.0/24」というネットワークでは「198.51.100.255」がこれに当たる。
ネットワーク構成に応じて値が変わり、ルータによる転送も可能である点で、常に固定値であるリミテッドブロードキャストアドレスとは性質が異なる。なお、セキュリティ上の理由からディレクテッドブロードキャストの転送もデフォルトでは無効化されている場合が多い。