FHS 【Filesystem Hierarchy Standard】
概要
FHS(Filesystem Hierarchy Standard)とは、Linuxシステムにおける、ファイルの役割とそのファイルが存在すべきディレクトリの位置を対応させる規格。Linux関連の標準仕様を定めるLSB(Linux Standard Base)プロジェクトの成果の一つ。Linuxを含むUNIX系OSでは、ファイルシステム内で似た用途や役割のファイル群を同じディレクトリにまとめるが、「ホームディレクトリ群は /home」といったように慣用的に広まっているディレクトリと、配置や名称がシステムごとに異なるディレクトリがある。
FHSはLinuxにおけるディレクトリ配置をなるべく共通化するためのガイドラインで、1994年に初版(v1.0)が発行され、最新版のv3.0は2015年に策定された。各Linuxディストリビューション開発者は必ずしも従う義務はないが、相互運用性を高めるため多くのディストリビューションはFHSに準拠している。
主な対応付けとして、基本的なコマンドは「/bin」、一般ユーザーのホームディレクトリは「/home」、ブートローダ関連は「/boot」、ログなど動的に変化するファイル群は「/var」などとなっている。ログファイルは「/var/log」など、一部は第2階層や第3階層について規定している。
このように各ディレクトリやファイルの存在すべき位置の標準を示すことで利用者はどのような環境でも目的のファイルを容易に検索することができる。また、FHSは各コンピュータに固有なデータと、複数のコンピュータで共有できるデータを厳密に区別し、複数台でのデータ共有を容易にしている。
(2023.4.17更新)