LSB 【Linux Standard Base】
概要
LSB(Linux Standard Base)とは、Linuxの各ディストリビューション(配布パッケージ)間の互換性や相互運用性を高めるため、一部の仕様の標準を定めた規格。準拠ディストリビューション間では基本的に同じアプリケーションを修正・調整せずにそのまま動作させることができる。オープンソースのオペレーティングシステム(OS)であるLinuxの開発プロジェクトでは、OSの中核部分である「カーネル」のみを開発している。これにOSとして動作させるのに必要な様々な関連ソフトウェアを追加し、コンピュータに導入可能なパッケージにまとめたものを「Linuxディストリビューション」という。
ディストリビューションは誰でも自由に開発・配布することができるため、様々な企業や開発者集団が作成しており、著名なものだけでも世界で数十個が開発されている。これらはカーネル部分は共通だが、他の要素についてはそれぞれが仕様や設定を決めて組み込んでいるため、あるディストリビューション向けに開発されたソフトが他のディストリビューションでうまく動作しないという非互換性の問題がある。
LSBはこの問題を緩和するため、様々な技術分野でLinuxディストリビューションが準拠すべき標準仕様を定めた規格で、Linux開発を主導する非営利団体リナックス・ファウンデーション(Linux Foundation)が有力なディストリビューション開発者と共同で仕様の策定と公表を行なっている。最初の仕様は2001年に発表され、2006年にはISO/IEC 23360として国際標準となった。
具体的な仕様としては、実行可能ファイルのバイナリ形式や、ファイルシステムの階層構造や主要なディレクトリ名、C言語やC++言語の標準ライブラリおよびAPI、同梱すべきコマンドやユーティリティソフト、印刷システムの仕様、グラフィックスシステムの仕様などである。
テストツールも配布され、標準への準拠度を確認することもできる。ディストリビューションがLSBに準拠していることを認証する手続きも定められており、オープングループ(The Open Group)という業界団体が審査を担当している。