拡張子 【filename extension】
一般的なコンピュータのストレージ(外部記憶装置)では、データを「ファイル」というかたまりに分けて保管している。各ファイルはシステムや利用者が命名した「ファイル名」によって識別されるが、その末尾にある「.」より後の部分を拡張子という。例えば、「新しいテキスト ドキュメント.txt」というファイル名の拡張子は「.txt」(あるいは「txt」)である。
拡張子はファイルの種類や形式を表すために付与されるもので、慣例として1~4文字程度の半角英数字の組み合わせが用いられることが多い。現代のほとんどのファイルシステムには文字数や文字種の制限はないが、かつてパソコン用OSとして普及していた「MS-DOS」には半角3文字(3バイト)までの制約があったため、後継のWindowsや他のシステムでも習慣的に(ピリオドを除いて)3文字の拡張子が多い。
複数のファイル形式が複合的に用いられている場合には「backup.tar.gz」のように二重に拡張子を付与することがある。この例の場合、複数のファイルをtar形式で一つにまとめ(アーカイブ)、gzip形式で圧縮したファイルという意味になる。ファイル形式自体は最後尾(.gz)の拡張子が表している。
拡張子の機能
Windowsではファイルを指定して開くよう指示すると拡張子を元に関連付けられたアプリケーションソフトを自動的に起動するようになっている。このため、システムが内部で使用する特殊なファイルなどを除き、原則としてすべてのファイルに拡張子が付与されている。
LinuxなどのUNIX系OSでは、ファイル名を見ただけで形式が分かるよう利用者にとっての便宜のために付けられるだけで、システム上の動作を指定するような働きはない。macOS(Mac OS X)ではファイルの種類の判別に独自の仕様を用いるが、一部のバージョンでは拡張子も用いる。
OS以外でも、例えばWebサーバやWebブラウザがファイルを送受信する際、データの種類を指定するMIMEタイプが不明な場合などにファイル名の拡張子を頼りにファイル形式を判断するといった用途に用いられている。システムが拡張子を利用しないUNIX系OSでも、ソフトウェアによっては拡張子を見てファイル形式を判断する動作を行うものがある。
拡張子の表示・変更
OSのデスクトップ画面やエクスプローラーなどのファイル管理システムでファイルやフォルダの一覧を表示すると、アイコン画像と共にファイル名が表示される。近年のWindowsやmacOSでは既定(デフォルト)の動作が拡張子非表示となっており、設定を変更しないと表示されるようにならない。
拡張子はファイル名本体と同じで利用者が自由に変更できるが、みだりに変更すると正しいソフトウェアで開けなくなる場合がある。実際のファイル形式と一致しているかチェックする仕組みなどはないため、拡張子を誤読させて利用者に実行させる(内容を閲覧するつもりでプログラムとして実行してしまう)手口を用いるコンピュータウイルスなども存在する。