バックスラッシュ 【\】 backslash
数学記号に似た表記があるものの自然言語での利用例はほとんどなく、1950年代の初期の大型コンピュータのALGOLプログラムで多用されていたためASCII文字コード標準に採用されたとの証言がある。
ASCIIコードでは92番(16進数で5C)に登録されており、この文字はUnicodeでもそのままU+005Cに収められている。Unicodeでは形状はこれとほぼ同じだが意味の異なる似た記号が他に6個ほど収録されている。
MS-DOSやWindowsのファイルやディレクトリの所在(パス)を表記する際にディレクトリ(フォルダ)の区切り記号としてよく知られている。UNIX系OSのシェルスクリプトなどでは行末に置いて次行への継続(改行の打ち消し)を指示することができる。
C言語系のプログラミング言語では、通常書き記すことができない特殊な文字を表すエスケープ文字として利用され、改行文字などの制御文字、十進数以外の数値表記、文字コード参照による文字表記などに用いられている。正規表現では逆に、特殊な意味を持つメタ文字の機能を解除して単にその文字自体として扱うメタ文字として用いられる。
円記号との置き換え
ASCIIを国際化したISO 646標準では92番を含むいくつかのコードについて各国の文字コード標準における文字の置き換えが認められており、ASCIIの日本向け拡張であるJIS X 0201ではこのコードに円マーク「¥」が割り当てられた。
このため、日本向け仕様の機種やソフトウェアでは92番の文字を円記号で表示するようにできているものが多く、日本で作成したテキストに含まれる円記号は欧米圏ではバックスラッシュに、欧米圏で書き記されたバックスラッシュは日本では円記号に、それぞれ置き換わって表示される。
日本の文字コード標準では後に漢字などを含む全角文字のコードが策定され、全角バックスラッシュ「\」も収録された。説明などのために円記号とバックスラッシュを両方同じ文書に記さなければならない場合、環境によらず確実に表示させるには全角バックスラッシュと全角円記号「¥」を使うしかない。