ハイフンマイナス 【-】 hyphen-minus
概要
ハイフンマイナス(-)とは、コンピュータ上で用いられる記号文字の一つで、短い横棒「-」のこと。単語の連結や分割を行う約物のハイフン(hyphen)と、算術のマイナス記号(minus)の両方を兼ねている。形状が似ているダッシュなどの代用とすることもある。文字コード標準のASCIIでは45番(16進数で2D)が割り当てられ、標準的な配列のキーボードでは文字領域の右下にある「= - ほ」と書かれたキーを打鍵することで入力できる。テンキーの右上端にも配置されている。
欧米の言語では、“man-hour” のように複数の単語を一語に連結する際に連結部分をハイフンで繋ぐ。また、行末に長い単語が来て収まりが悪いときに、二分割して前半の末尾にハイフンを置き、後半を次行の行頭に回す「ハイフネーション」(hyphenation)処理が行われる。例えば、行末の “hyphenation” が長すぎる場合に “hyphen-” で改行して次行を “ation” で始める。
また、日常の様々な場面で、区切りや連結を意味する記号として用いられる。例えば、電話番号(01-2345-6789)や郵便番号(100-0001)、日付(1970-01-01)、スポーツなどの競技の得点(33-4)、商品の型番などのコード(PC-9801)などである。
算術や数学のマイナス記号の意味もあり、減算記号や負の符号としても用いられる。「2-1」は「2引く1」を、「-1」は「マイナス1」を表す。プログラミング言語などでも負数や減算を表す記号としてよく用いられる。C言語などでは二つ連続で並べた「--」が「1を減じる」を意味する単項演算子(デクリメント演算子)を表す。
短い横棒の記号はタイプライターの時代から存在し、当時から文書中でハイフンやマイナス、ダッシュなど様々な用途で使われてきたとされる。ASCII文字コードなどに収録されコンピュータ上でも一般的に利用されるようになったが、この記号がハイフンなのかマイナスなのかは特に決まっていなかった。
その後、各国でASCIIを拡張したり独自に文字コードを策定する際に、ハイフンやマイナスを独自に追加するものが現れ、ASCIIの45番の横棒はそもそもどちらなのかが問われるようになった。それまでの歴史的な蓄積などもありどちらか一方に決めることができず、どちらでもある「ハイフンマイナス」(hyphen-minus)という独自の記号であると定義された。
ちなみに、UnicodeではASCIIから引き継いだ(半角の)ハイフンマイナス(U+002D)の他に、ハイフン(U+2010)、マイナス(U+2212)、日本語文字コードから引き継いだ全角ハイフンマイナス「-」(U+FF0D)、エヌダッシュ(“N”幅のダッシュ:U+2013)、エムダッシュ(“M”幅のダッシュ:U+2014)が追加されている。