バッククォート【back quote】`
概要

フランス語などで「à」のように文字の上に付加するダイアクリティカルマーク(発音区別符号)の一つであるアクサングラーブ(グレーブアクセント)に由来する。コンピュータの世界では発音記号としてではなく、独立した記号文字として扱われる。
文字コード標準のASCIIでは96番(16進数で60)に割り当てられている。日本語配列の標準的なキーボードでは、文字領域の右上にある「`@ ゛」と刻印されたキーをShiftキーと同時に押すことで入力できる。英語配列では数字の「1」の左隣に単独で配置されていることが多い。
「バッククォート」という名称は、一重引用符の開き記号としての用法に由来する。ASCIIが制定された当初は開き引用符と閉じ引用符が別々に用意されておらず、開き記号として「`」、閉じ記号としてアポストロフィ「'」を代用するのが慣例であった。同様に、二重引用符は両者を二つ連続で並べた「``」と「''」で代用していた。
プログラミングでは言語や処理系ごとに固有の用途がある。LinuxなどのUNIX系OSのシェルスクリプトやPerlでは、「`コマンド名`」のようにバッククォートで囲んだ文字列をコマンドとして実行し、その出力結果を文字列として埋め込むコマンド置換の構文として用いる。近年のシェルでは可読性の高い「$(コマンド名)」記法が推奨されている。
Markdownでは文中にコードを埋め込む際の区切り文字として使われ、3つ連続させた「トリプルバッククォート」はコードブロックの開始・終了を示す。JavaScriptのES2015規格以降では、変数の埋め込みや複数行の記述が可能なテンプレートリテラルの区切り文字として採用された。MySQLなどのデータベースでは、テーブル名や列名といった識別子を囲む記号として用いられる。