中黒 【・】 middle dot / 中点

概要

中黒(・)とは、記号文字の一つである「・」のこと。日本語の約物の一つで、主に複数の単語の並置や外来語の単語の区切りを表すために使用される。「中黒」は「なかぐろ」、「中点」は「なかてん」と読む(数学の中点ちゅうてんとは異なる)。

日本語では主に複数の単語を並べて一つにまとめたいときの区切り記号として用いられる。例えば、「大学・短大・専門学校」のように複数の名詞を並列に挙げたいときや、「バーチャル・リアリティ」のような複数の単語を組み合わせた外来語の表記、「ジョージ・ワシントン」のような外国の人名の表記、「解説・松木安太郎」のような肩書きと人名の区切りなどである。縦書きの数字や漢数字で小数点の代わりに用いられることもある。

また、箇条書きの項目の先頭の記号として用いられることもあるが、これは本来「ビュレット」(bullet)と呼ばれる専用の記号であり、厳密にはその代用である。「・・」「・・・」のように複数並べて2点リーダー(‥)や3点リーダー(…)の代用とすることもある。

日本語以外の言語ではあまり使われない記号だが、ラテン語などで使用例がある。数学では乗算を表す記号として掛け算記号(×)のように使われる。「3・4」は「3×4」の意味である。ベクトルの計算では「a・b」がスカラ積、「a×b」がベクトル積を表し、意味が異なる。

日本語の文字コードにはJIS X 0208などに古くから収録されており、広く一般的に利用されている。Unicodeでは全角の中黒がU+30FB(KATAKANA MIDDLE DOT)、半角カタカナの中黒がU+FF65(HALFWIDTH KATAKANA MIDDLE DOT)として収録されている。

欧米でも、ラテンアルファベット圏で一般的なASCIIコード拡張のISO-8859-1の183番(16進数B7)が中黒(middle dot)となっており、UnicodeにもそのままU+00B7(MIDDLE DOT)として日本語由来のものとは別に収録されている。フォントによっては日本語由来の記号と見分けにくいため注意が必要である。

(2023.7.20更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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