WBS 【Work Breakdown Structure】 作業分解図 / 作業分割構成 / ワークブレークダウンストラクチャー

概要

WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクトマネジメントで計画を立てる際、プロジェクト全体を細かい作業に分割した構成図のこと。大きな単位から小さな単位へ段階的に分割し、階層構造で表される。

一般的なWBSの作成法では、まずプロジェクト全体の成果物を定義し、これを得るのに必要な各段階における工程や成果物に分解していく。その際、全体を大きな単位に分割してから、それぞれの部分についてより細かい単位に分割していき、階層的に構造化していく。

十分細かい単位に分解できたら、これを得るために必要な具体的な作業や業務(一つとは限らない)を考え、最下層に配置していく。一つの成果物を得るための一連の作業のかたまりのことを「ワークパッケージ」(work package)と呼ぶ。

図表として表す際は、左端が大項目で右へ向かって細分化されていく表や、大項目から順に枝分かれしていく木構造の図で表現されることが多い。表の右側に担当部門やスケジュールを表すガントチャートなどを書き加え、計画や進捗の管理に用いる場合もある。

成果物指向とプロセス指向

プロジェクト全体を細かな単位に分解する際の方針は、主に産み出される成果物に着目する成果物指向(成果物型、成果物ベース)の考え方と、主に作業工程に着目するプロセス指向プロセス型、作業ベース)の考え方に分かれる。

成果物指向は「○×社財務管理システム」のようにプロジェクト全体が生み出す最終成果物を設定し、これを構成単位の中間成果物に分解していく考え方である。ワークパッケージは最小単位の成果物を産み出すための作業工程となる。完成品の仕様や設計などが明確な場合に適している。

プロセス指向は「オフィスの移転」のようにプロジェクト全体を大きな工程と捉え、これを構成単位の中間工程に分解していく考え方である。ワークパッケージは最小単位の作業工程となる。製品のような形を持った成果物が目的ではないプロジェクトや、初期に最終成果が明確に定義できない中長期的なプロジェクトに適している。

OBS/CBS

WBSから派生する構成図に「OBS」(Organization Breakdown Structure)と「CBS」(Cost Breakdown Structure)がある。それぞれWBSのワークパッケージにチーム、コストを割り振ったもので、プロジェクト遂行に必要な人員や予算の計画のために必要となる。

OBSワークパッケージに担当チームや責任者、担当者を配置したもので、プロジェクトを遂行する組織図となる。図中で作業の並びに対して直交するようにチームを並べて表(マトリクス)を構成し、各チームが担当する作業に印をつける作図法が一般的である。

CBSはプロジェクトのコスト構造を示した図で、各ワークパッケージに予算を割り当てて全体の予算を見積もったり、プロジェクト進行中に消化した予算の実績値を書き入れてコストを管理するのに用いられる。OBSと同じように、作業と直交するように費目を並べ、各作業についてどの費目にいくらかかるのかを書き入れる作図法が用いられることもある。

(2023.3.7更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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